ブログ始めました。アナウンサーって放送や司会以外のプライベートでも人前でしゃべるときに時間ぴったりかどうか判定されていることを感じます。「では3分で」と言われれば2分50秒は余裕で、2分57秒くらいに収める自信はあります。困るのは相手が知らないうちに尺をジャッジしていることで「さすが田代さん、10分ちょうどでしたね」と言われ「あれ10分の予定だったっけ」と冷や汗。。不思議と30年以上の経験による体内時計があるのか、的確な尺で終わることが多いのですが、私の経験ではなぜか時間を計っている人がいて「時間ちょうどでしたね!」と言われる確率は高いんです。アナウンサーにとって人前でだらだら話すのは禁物のようで、事前に何分くらいですかと聞くようにしてぴったり収めて期待に応えるようにしています。
先日、京都を中心に活躍するフリーアナウンサー寺田有希さんのオンラインレッスンをしました。課題はCM原稿読みです。CM依頼側はさらっと読んで原稿の分量と秒数を決めがちで、口をしっかり開いて明瞭に発声するアナウンサーにとっては、時間が足りなくなりがちです。でも時間内に収めないとクライアントの信頼は得られません。クライアントは「読めないなら他のアナウンサーに頼もう」となってしまいます。実は、プロなら早口で読んで尺内に収めることはできますが、早口だなと感じさせては失格です。
では、早口でなく尺を稼ぐにはどうするのか?それは「が」などの助詞を軽く発音するんです。これを「置いておく」と言います。これをやると20秒で1秒くらい稼げます。しかも助詞を抑えると自然な読みに聞こえ、キーワードも引き立ちます。これを読み下しと言います。「置いておく」と「読み下し」。アナウンサーは、日々このような知られざる工夫や努力を重ねています。